超高齢社会の日本は認知症患者の増加が著しく、認知症ケアに向き合わなくてはいけない環境下にいる人も増加している状況にあります。
患者さんとコミュニケーションがうまくとれなかったり、ケアを拒絶されたりする等適切な診療やケアを行うことができないこともある壮絶な介護の現場。
患者さん本人やその家族だけでなく医療・介護職職員も虚脱感を抱き離職に追い込まれることがありえます。
今、そういった現状を改善するための画期的なケアとして注目されているのがユマニチュードという考え方です。
これはいったいどのような考え方なのでしょうか?
今回はユマニチュードの言葉の意味、考え方、メリット・デメリットについて解説します。
認知症ケアのユマニチュードはフランス語でどういう意味?
ユマニチュードはフランス語で「人間らしさ」という意味があります。
体育学を専攻するフランスのイブ・ジネストとロゼット・マレスコッティにより開発されました。
彼らが病院職員の腰痛対策に取り組んでいた際に、腰痛の原因が認知症患者への無理なケアを行わざるを得ない状況にあると気がつきました。
そこから「患者がケアを拒否するのには理由があるはず」と考え、生まれたのがユマニチュードです。
ユマニチュードの基本的な考え方について解説
ユマニチュードとは実践的なケアの技法を示していて、その考え方のベースには「人間とはなにか」「ケアする人とは何か」を問う哲学が存在しています。
その目標には
②機能維持
③最期まで寄り添う
というレベルがあり、「健康に害を及ぼさない」ことが絶対条件です。
これはつまり、個々の健康状態や能力に合ったケアを選択することが重要だということ。
患者さんに不安を与えることで病状を悪化させてしまいかねない強制的なケアや睡眠障害、身体抑制といった行為は排除すべきだという考えです。
ユマニチュードは「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱をもち、これらケアを行う際の原則としています。
これらは「あなたのことを大切に思っている」ということを伝えるための技術。
さらに、「見る、話す、触れる」といった人ならではの包括的なコミュニケーションと、自己の尊厳を実感出来る「立つ」ことの援助が必要であるとジネストたちは説明しています。
ユマニチュードのメリット・デメリットはなにか
メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・介護を受ける本人のみでなく介護に当たる職員や家族等周りの人も穏やかに過ごせるようになること
・入浴などの介護がスムーズに行われるようになる
デメリット
・ユマニチュードの考え方に沿ったケア技術を本格的に習得することは簡単なことではないため、実践までに時間がかかってしまう
まとめ
ユマニチュードは奥が深いため、そのベースや基本となっている考え方を解説しました。
認知症の方にはどうしても介護をする側の思いや優しさが伝わりづらいと感じることも多いのではないでしょうか?
介護する側の優しさを患者さんが理解できる形で伝えるのがユマニチュードの最大の特徴です。
ぜひ日々のケアでユマニチュードの考え方に沿ったケアを実践しながら、その効果や意義を感じてみて下さい。