ユマニチュードって言葉をご存じですか?
ユマニチュードはフランスで生まれた哲学とその実践技術から成るケアメソッドのことです。
近年は日本でも認知症ケアに有効であると注目されています。
ユマニチュードは認知症の方のみではなく、あらゆる対人援助の場面で活かすことが出来ます。
ユマニチュードの対象者はどんな人なのか?又、育児や障害者ケアの場面でも活かすことの出来る方法を紹介します。
ユマニチュードという考え方の対象者は?
ユマニチュードは認知症ケアに広く活かされてはいます。
「人間らしさ」という意味を示し、「人と人の関係、絆の質」をケアの中心におく考え方がベースにあります。
そのため対象者はこういう人だという決まりはありません。
すべての”ケアが必要な人”を対象とし、冒頭でも述べたようにあらゆる対人援助の場面で活かすことが可能です。
誰かを「大切に思う気持ち」を相手にわかる形で表出するのがユマニチュードの技術なのです。
ユマニチュードを育児で実践するには
まず、ユマニチュードの柱は①見る②話す③触れる④立つの4つです。
これらの技術のポイントを紹介しながら、育児にどう活かすかを解説します。
①見る
相手と水平な目線にして、正面からしっかり見ることで平等な関係性と正直さを伝えることが出来ます。
より近くから、水平に、正面から、長い間、目と目を合わせるという見方がポジティブさと愛情を表現します。
子育ての場合→子供と吐息を共有できるくらい近付きます。
正面から同じ目線で、ゆっくり目と目を合わせ見つめ合えば、我が子を思う愛情をしっかり伝えることが出来ます。
②話す
穏やかに、ゆっくり前向きな言葉を用いて話しかけます。
子育ての場合→子供に何か大切なことを伝えたい時、穏やかにゆっくり前向きな言葉で伝えます。
③触れる
広い面積で、柔らかくゆっくり触れることで、優しさや愛情を表現します。
順序は肩や背中から、徐々に敏感な手や顔に触れるようにすると良いです。
子育ての場合→鷲づかみや指先だけで触れることは強制力や攻撃性を伝えてしまうことに注意しましょう。
手のひらで広く、優しく触れることで愛情を伝えることが出来ます。
子供を抱きしめることも大切な触れる技術の一つです。
④立つ
立って歩くことは知性の根幹であり、人間であることの尊厳を自覚する手段でもあります。
子育ての場合→立つということは子育ての場合自立することであるといえます。
子供が自立できるように見守り、必要な時に支えることが大切です。
ユマニチュードを障害者ケアで実践するには
ユマニチュードをケアで活かすために5つのステップを踏みます。
ケアする側の存在に気づいてもらい、「この人とならいい時間を過ごせる」と感じてもらえるようにすべてのケアをこのステップで行う必要があります。
②ケアの準備:相手との関係性を築く
③知性の連結:心地よいケアの実践
④感情の固定:ケアの心地よさを相手の記憶に残す
⑤再来の約束:次回のケアを容易にするための準備
障害者ケアを行う際も、このステップを踏んでいきましょう。
その経過で行われるコミュニケーションでは上記で紹介した4つの柱の技術を使用してみましょう。
まとめ
相手が子供である子育ての場面はもちろんですが、障害者ケアでも、どんな相手が対象の場合でも同じです。
大切な家族や恋人に愛情を伝えるときと同じ気持ちで接することで、いい対人関係を生み出すことが出来ます。
ユマニチュードの考え方では、身内への愛情と同じような気持ちを持ってケアをすることがとても重要視されています。
いい対人関係ができあがってこそ、いい”ケア”をすることが出来るようになるのです。
今回紹介した場面以外でも、日常生活の中でユマニチュードの考え方を活かすことの出来る場面は多いと思います。
こちらを活用して、様々な人との対人関係を円滑なものにしていきましょう。